腹腔鏡手術とは
ABOUT THE SURGERY
腹腔鏡は内視鏡の一つです。内視鏡で最もなじみのあるのが「胃カメラ」でしょう。管の先端にカメラがついていて体内を撮影することができます。小さな穴をお腹に作り、そこからカメラを入れて術野を確認しながら、もう1箇所(必要に応じて更にもう1箇所)の小さな穴から手術のための器材を入れて手術を行うのが腹腔鏡手術です。従来の開腹手術と異なり、大幅に切開する箇所が小さくなるため、痛みの軽減、術後の早期回復に効果的です。人の開腹手術は体への影響、術後の見た目の問題から腹腔鏡下での手術が主流になっています。当院では動物への影響を最小限に抑えるため、早期にから腹腔鏡手術を導入しています。
腹腔鏡手術のメリット
・小さな傷(約5-10mmの傷が2つか3つのみ)で手術が可能
・日帰り手術も手術内容により可能
・傷が小さいため、痛みを抑えられる
・臓器が空気に触れにくいため、臓器への影響が少ない
・カメラにより鮮明な画像が得られ、肉眼よりも細かいところが確認できる
・開腹手術では一泊入院することが多いが、腹腔鏡手術だと日帰りも可能
腹腔鏡手術のデメリット
・視野を確保するために行う炭酸ガス気腹処置により血液循環が影響を受ける
・感覚が伝わりにくく、出血への対処や癒着の剥離が困難
・手術費用が開腹手術よりも割高になる
腹腔鏡手術の手順
1. 開腹手術と同様に、麻酔、毛刈り、消毒を行う
2. お腹の中に二酸化炭素ガスを用いて気腹(お腹をガスで膨らませる)を行う。これにより視野を確保する
3. トロッカーと呼ばれる筒状の器具(トンネルの役割)をお腹の中に留置する
4. トロッカーの空洞部分に、内視鏡手術専用の細長い内視鏡、鉗子などを挿入し、モニターに映し出された画像を見ながら手術を行う
5. 手術が終わったら、気腹を解除し傷の縫合をする
腹腔鏡手術の時間
当院で腹腔鏡手術の適応になるのは避妊手術です。一般的には15分〜30分程度で手術は終わりますので、通常の開腹手術の場合と変わりません。なお、腹腔鏡手術は手術者の力量・経験によって時間が大きく変わってきますので、経験数の多い病院を選ぶことをお勧めします。
腹腔鏡下での避妊手術に関するQ&A
Q.小型犬でも腹腔鏡手術は行えるのでしょうか?
A.はい、手術可能です。この地域にお住まいの方は小型犬と一緒にお住まいのことが多いため、手術実績も小型犬の方が多くあります。
適応疾患例
当院では腹腔鏡手術の経験豊富な獣医師が担当し、幅広い手術にも対応可能です。腹腔鏡下での手術とすることで、動物への負担を極力軽減することが可能です。
- 適応疾患例
- 卵巣子宮摘出術(避妊手術)/卵巣摘出術(避妊手術)/停留精巣摘出術(去勢手術)/膀胱結石摘出術/胃固定術(胃捻転の予防手術)/腹腔内臓器の各種、組織生検/副腎摘出/胆嚢摘出/肝臓摘出